カイコバキュロウイルス(BmNPV)分離株(H4)と標準株(T3)のゲノム塩基配列の類似性は98%と非常に高いが、H4はカイコ個体での増殖に高度に適応した系統である。T3とH4のキメラウイルスを作製し、ウイルス増殖と外来遺伝子発現に与える影響を調査した。その結果、gp64の構造の違いが、T3とH4の個体での増殖特性の違いに大きく関わっていること、H4のGP64に認められる6カ所のアミノ酸変異のうち、少なくとも2カ所の変異がウイルスの個体増殖能と外来遺伝子の発現効率に大きく影響を及ぼすことが明らかとなった。以上の結果は、GP64の構造を標的としたBmNPVベクター改良の可能性を示すものであった。
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