研究課題/領域番号 |
15K14893
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
勝間 進 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (20378863)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ボルバキア / 共生細菌 / アワノメイガ / オス殺し / 遺伝子量補償 / 性決定カスケード / トランスクリプトーム / Masc遺伝子 |
研究実績の概要 |
微生物による宿主操作は、自然界ではよく見られる現象である。細菌の一種であるボルバキアは、宿主昆虫の性分化や生殖システムを操作することが知られているが、その分子メカニズムは全く解明されていない。申請者は、カイコを用いた研究で、初期胚における遺伝子量補正システムを破壊すると雄特異的胚致死が引き起こされることを発見した。申請者はこの現象が、ボルバキアに感染したオストリニア属昆虫が引き起こす“雄殺し”のフェノコピーであると考えている。すなわち、ボルバキアは自身の遺伝子を用いて、宿主の遺伝子量補正カスケードをハイジャックし、そのシステムを破壊することで“雄殺し”を達成しているのではないだろうか。本研究は、“雄殺し”を行うオストリニア属昆虫を材料として、ボルバキアの性操作と宿主の遺伝子量補正の関係を分子レベルで明らかにすることを目的とするものである。 平成27年度はボルバキア感染・非感染アワノメイガ胚子を用いて、トランスクリプトーム解析を行い、カイコにおいて遺伝子量補償を司るMasc遺伝子のオーソログを同定し、その発現がボルバキア感染によって顕著に低下していることを見出した。インフォマティクス解析の結果、アワノメイガのオス殺しは遺伝子量補償の破綻によるものであることが明らかになった。また、ボルバキア感染胚子に人工的に合成したMasc cRNAをインジェクションすることで、オス殺しを回避できることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ボルバキアによるオス殺し機構の一端を解明し、論文発表することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後はMasc遺伝子の発現を低下させているボルバキア因子の同定を推進する。具体的には、Masc遺伝子の発現が低下している初期胚において、ボルバキア感染・非感染、抗生物質処理時のトランスクリプトーム解析を行い、候補遺伝子の絞り込みを行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
サンプリングの都合で、当初予定していたRNA-seqが実施できなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
サンプリングは終了しているので、できるだけ早くRNA-seqを実施する。
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