研究課題/領域番号 |
15K14905
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
亀井 一郎 宮崎大学, 農学部, 教授 (90526526)
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研究分担者 |
平井 浩文 静岡大学, 農学部, 教授 (70322138)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 応用微生物 / 菌類 / バイオマス / 複合微生物 / 木材腐朽 |
研究実績の概要 |
PDA培地上で白色腐朽菌の菌糸伸長促進効果が観察されるStereum sp. TN4F株とその共存細菌Curtobacterium sp. TN4W-19の組み合わせ、およびPhlebia brevispora TN3F株とその共存細菌TN3W-14株の組み合わせを用いて、PDAプレート上におけるホウノキおよびブナ木片を用いた腐朽試験を行った。いずれの細菌も木片上に接種し、共存細菌が白色腐朽菌の菌糸伸長に与える影響、木材腐朽に対する影響、および白色腐朽菌菌糸の伸長に伴う細菌の移動について検討した。ホウノキ木片を用いた腐朽試験では、いずれの組み合わせにおいても木片の重量減少がほとんど観察されなかったが、Stereum sp. TN4F株の菌糸伸長が、細菌と共培養させることで著しく促進されることが示された。一方、ブナ木片を用いた腐朽試験では、細菌の共培養による白色腐朽菌の生育に大きな差は見られなかったが、木材腐朽菌と細菌を共培養させることで木片の重量減少が低下した。これらの結果は、耐腐朽性のある木材上での白色腐朽菌の生育に、共存細菌が正の影響を及ぼすことを示す。一方で、木片上の細菌接種位置と離れた場所より白色腐朽菌菌糸をかきとり、R2A培地上に塗布して細菌の有無を検討した。その結果、安定的ではないものの一部の菌糸先端より細菌のコロニーが検出された。この細菌が接種した共存細菌であるかどうかの確認はおよび再現性を検討する必要があるが、木材腐朽菌の菌糸伸長に伴って細菌が移動している可能性を示唆する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は評価系の構築から進める必要があったが、木片のサイズや白色腐朽菌の接種位置、細菌の接種の位置とタイミングが重要であることが分かり、多くの検討を必要としたが、それもおおよそ決定でき、評価に値する実験系が構築できたことは研究を進めるうえで有益である。計画した実験をほぼそのまま推進することができた。
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今後の研究の推進方策 |
実験系が確立できたため、今回用いた白色腐朽菌と共存細菌以外の組み合わせについて検討を進める。特に、すでに木粉の腐朽試験時に細菌を共存させることで木粉の重量減少が増加する組み合わせを複数保持しているため、それらを用いた検討を進めることで、細菌の移動と木材腐朽に関する知見を集積する。
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