研究実績の概要 |
1. AAEx輸送体の基質輸送制御の解析 平成28年度に確立した、精製AspTを各種リガンド共存下で熱処理した後に、AspTのトリプトファン蛍光を検出する蛍光ゲルろ過クロマトグラフィー(FSEC)を用いて未変性AspTピークの定量を行って、構造解析に向けてさらに安定化条件を決定した。その結果、基質L-Asp, L-Ala, Naイオン, pH5-6の弱酸性条件が熱安定化要因であることに加えて、glycerol20-30%、界面活性剤DDM0.01-0.1%で安定であることが明らかとなり、結晶化で障害になるDDMの低減条件を見出した。 2. AAEx輸送体の結晶化と立体構造解析 1 で見出した安定化条件を用いて結晶化スクリーニングを行ったところ、複数の条件で結晶が得られ、高エネ研で4.3--6.0ÅのX線回折データが得られた。また、さらに良い結晶を得るためにFSEC法を用いてAspTの耐熱性変異体を造成した。そのうちAspTG439W変異体は野生株比で5℃程度耐熱性が向上しており、結晶化スクリーングでは野生型とは異なる条件で結晶が得られ、高エネ研での解析で3.8-5.8Åの回折データが得られた。現在、3Å以下のデータが得られるような結晶のスクリーニングを継続している。AspTG439Wの輸送活性は、野生型の10%程度であり、輸送反応サイクル中の複数のコンフォメーションのうち、どれかの存在比率が高くなっていると思われる。
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