本研究においては、培養細胞を用いた蛍光イメージングにおいて、細胞近傍の外液pHを蛍光イメージングにより測定可能な新規細胞評価系を構築することを目的とする。新規プロトン透過性チャネルと蛍光タンパク質を組み合わせた新たな手法を開発することで、pH変化を伴う細胞イメージングに新たな方法論を提案することが可能となることが期待される。
・安定発現細胞株を用いたイメージング解析 EGFPおよびプロトンチャネルを共発現させることによって、細胞外のpH低下を細胞内の蛍光強度減少から検出可能なセンサー細胞の作製を試みた。安定発現細胞株におけるプロトン透過性チャネルおよびEGFPの発現量比が異なった細胞株を構築するため、発現コンストラクトのデザインを行った。EGFPをCMVプロモーターで発現させ、同時にプロトン透過性チャネルを①IRES配列を用いたバイシストロニック発現、②低発現プロモーターによる発現誘導、③強発現プロモーターによる発現誘導、という異なる発現量が可能となるように、各種安定発現細胞株を構築した。 外液のpHを様々に変化させたときの経時的な細胞内EGFPの蛍光強度変化を測定したところ、プロトン透過性チャネルの発現量に依存して、蛍光強度変化速度に差異が認められた。すなわちプロトン流入量の異なる3 種の細胞株の作製に成功するとともに、その蛍光強度変化を用いて、細胞外pH低下を異なる感度でモニターする系の構築に成功したといえる。本細胞を蛍光イメージングに用いることで、視野中のpH変化を簡便に測定することができると期待される。
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