研究課題/領域番号 |
15K14916
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
本田 信治 福井大学, テニュアトラック推進本部, 助教 (90632167)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ゲノム防御 / 染色体動態 / ライブイメージング / アカパンカビ |
研究実績の概要 |
アカパンカビは、Repeat-Induced Point mutation (RIP)と呼ばれる特殊なゲノム防御機構を持つ。RIPは生殖期にゲノム上の重複配列を認識し、両方の配列を高頻度に塩基置換させる。しかし、RIP発見から約30年経つが、RIP現象を解析する手法はほとんどない。本研究は、RIP研究の基盤となりうるRIPの重複配列探索 (Pairing) とDNA配列変異 (RIPing) を顕微鏡下で捉えるRIP可視化システムの構築を行っている。そのために、RIPが発動するアカパンカビ生殖系で長時間ライブイメージング用の蛍光蛋白質を検討し、緑色ではmNeonGreen、そして、赤色ではTagRFP-Tが適し、これらのコドンをアカパンカビ用に最適化した。そして、当初の予定通りに、特定染色体領域に目的蛋白質をTethering(繋ぎ止め)するシステムの構築に取り組んでいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本RIP可視化システム構築の鍵となる特定染色体領域へ目的蛋白質をTetheringする技術を実現させるために、大阪大学・藤井先生らが開発したiChIP法(Fujita & Fujii, PLoS One, 2011)で用いられるLexA DNA結合ドメイン(LexA DB)-LexA operator配列 (lexAop)システムの改良を行っている。しかし、他生物で一般的であるシグナル増強のためのlexAopの単純な繰返しを行うと、アカパンカビが有する他のゲノム防御システム(ヘテロクロマチン化)が発動し、この配列へのアクセスが阻害されることが分かった。そのため、現在、この防御システムが発動しないギリギリの繰り返しと、この繰り返し間にこの防御システムを阻害する配列を挿入する人工配列をデザインし直し、再挑戦しているため、進歩状況は当初の予定よりやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
上記の対策を行い、RIP可視化システムの構築を成功させるための鍵となる適切なプロモーター選択を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初購入を予定した、長時間、高輝度・高安定性タイムラプス撮影専用のLED光源システムXLED1は、充足率の関係上購入することが不可能になり、使用計画を見直したため。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度の予算と繰り越し分を併せた額は、当初の予算使用計画額に近い。そのため、使用計画にそって行う。
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