研究課題
mRNAの選択的スプライシングは、ゲノムにコードされる遺伝子の数を遙かに超えた数のタンパク質を発現させるメカニズムであり、生物進化を理解する上でも重要な研究課題となっている。しかし、ヒトにおける選択的スプライシングの分子機構は十分にわかっていない。報告者は、ヒトにおける選択的スプライシングを新規因子CHERPが新たな分子機構により制御することを見いだした。本研究は、CHERPの制御する遺伝子を網羅的に解析するとともに、CHERPによる選択的スプライシングの新規原理を提示する。加えて、ヒト遺伝病の約20%で生じるmRNAスプライシング異常に伴う難治性疾患の分子標的としてのCHERPの有効性を評価する。同時にCHERPによるCaシグナリングを介した選択的スプライシング制御の可能性を評価する。CHERPがmRNAスプライシングのどの段階に作用するのかを調べるために免疫沈降と質量分析から相互作用タンパク質の同定を行った。質量分析の結果、CHERPは3’スプライス部位の認識や決定に関わるU2snRNPやU2AFタンパク質と強く相互作用することを見出した。CHERPはスプライシングの初期段階に関わることが示された。さらに選択的スプライシングの生じる遺伝子を駅そんな例により解析した。その解析結果の正確さを、RT-PCRにて検証したところ、実際に細胞周期や顔に関連する遺伝子の選択的スプライシングが大きく変化していることを突き止めた。その際、エキソンのインクルージョンだけでなくスキッピングについても生じていることを見出した。
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