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2016 年度 実施状況報告書

空間分解メタボロミクスによる植物代謝動態可視化

研究課題

研究課題/領域番号 15K14921
研究機関九州大学

研究代表者

三浦 大典  九州大学, 先端融合医療レドックスナビ研究拠点, 准教授 (40532627)

研究分担者 藤村 由紀  九州大学, 先端融合医療レドックスナビ研究拠点, 准教授 (20390304)
早川 英介  沖縄科学技術大学院大学, 進化神経生物学ユニット, 研究員 (20739809)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード質量分析 / メタボローム / 植物代謝
研究実績の概要

本研究では、申請者がこれまでに開発してきたマトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)法を基盤とした質量分析イメージング技術を先鋭化することで、これまで未知であった植物個体内微少領域における代謝動態の二次元可視化を試み、植物代謝研究における新たな基盤技術の創生と生理・形態学的情報を与える新たなオミクス解析ツールの提供を目指す。
本研究では傷害ストレスを与えたトマト果実における代謝応答の空間的変動を捉える事を目的とした。果実は傷害を受けると通常の成熟速度よりも急速に成熟が促進されることが知られており、様々な二次代謝産物(エチレン、ジャスモン酸など)の関与が報告されている一方、果実内のどこでどのような代謝応答が起こっているかはほとんど分かっていない。そこでトマト果実内の局所的な代謝動態を詳細に理解するために質量分析イメージング技術を用いて代謝物分布の可視化を試みた。熟度の異なる果実の代謝物分布比較を行ったところ、成熟過程で有機酸(リンゴ酸)の見かけの濃度が減少し、旨味成分(グルタミン酸、AMP)の見かけの濃度が増加していた。さらに、本研究により抗菌成分であるトマチンが傷害部周辺に特異的に蓄積することが明らかとなった。以上の結果からMSI分析は果実の局所的な生理現象を理解するために有用な技術であることが示され、今後、未解明な植物生理現象を理解することに貢献すると考えられる。現在既にシロイヌナズナの葉を用いた応用研究を進めており、分析技術としての基盤整備も順調に進んでいる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

いくつかの研究項目については当初の計画より大幅に進んでいるが、未知代謝物同定に用いる予定であった超高分解能質量分析装置の故障により、この項目だけは当初の予定より遅れている。

今後の研究の推進方策

未知代謝物同定については共同研究者の協力により順調に進める目処が付いている。今後は本研究の成果をモデル植物であるシロイヌナズナなどの代謝解析に応用し、植物生理学的基礎研究を初め作物の品種改良など幅広い応用研究に極めて重要な革新的代謝解析技術の整備を進めていく。

次年度使用額が生じた理由

当初予定していた機器の使用について、複数箇所の故障により実験が不可能になり、また予想外に修理に時間を要し期間内に満足に実験結果を得ることが出来なかったため、研究機関後期には共同研究者の保有する機器を使用して実験を継続したが、当初の予定通りに実験が進まなかった。

次年度使用額の使用計画

得られた成果の外部発表および消耗品の購入などに使用する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Spatially resolved metabolic distribution for unraveling the physiological change and responses in tomato fruit using matrix-assisted laser desorption/ionization-mass spectrometry imaging (MALDI-MSI).2017

    • 著者名/発表者名
      Nakamura, J., Morikawa-Ichinose, T., Fujimura, Y., Hayakawa, E., Takahashi, K., Ishii, T., Miura, D.* and Wariishi, H.
    • 雑誌名

      Analytical and Bioanalytical Chemistry

      巻: 409 ページ: 1697-1706

    • DOI

      10.1007/s00216-016-0118-4

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] Structure-Property Relationship of MALDI Matrix for Low-Molecular-Weight Metabolites Analysis2016

    • 著者名/発表者名
      Daisuke Miura, Takanori Ishii, Daichi Yukihira, Yoshinori Fujimura, Hiroyuki Wariishi, Mitsuru Shindo
    • 学会等名
      21st International Mass Spectrometry Conference
    • 発表場所
      Toronto, Canada
    • 年月日
      2016-08-20 – 2016-08-26
    • 国際学会

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公開日: 2018-01-16  

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