研究課題/領域番号 |
15K14936
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
加藤 大 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 特任准教授 (30332943)
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研究分担者 |
三森 功士 九州大学, 大学病院, 教授 (50322748)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | cfDNA / 粒子 / 診断 / 尿 |
研究実績の概要 |
病気によって変動する生体内物質(バイオマーカー)を非浸襲で早期に検出することは、病気の予防の観点で重要である。生体物質の中でもDNAは、がん等の疾患によって変化することが知られているため、有効なバイオマーカーとして注目されている。尿は、非浸襲で採取できる生体試料であり、健常人は、一日に3Lの尿を排泄するので、試料の入手が容易であることから、我々は、シリカ粒子を用いた尿から血中循環DNA (circulating cell-free DNA: cfDNA)を効率的に抽出する手法を開発した。 DNAが多数のリン酸基を有することから、シリカ粒子にポリカチオンであるpoly-Lysineを修飾することで、DNAに対する親和性を付与した。シリカゲルとpoly-Lysを水溶液中で混合することで、シリカゲル表面にpoly-Lysineが導入され、DNAに対して強い親和性を示すDNA抽出用シリカゲルが調製された。Poly-Lysの導入量が増加するほど、回収可能なDNAの量は増加し、またグルタミン酸のようなカチオン化合物の存在下でもDNAを効率的に捕捉した。本粒子によって、50mL尿から高純度のcfDNAが大量(1.3マイクログラム)に回収された。cfDNAはガン等の疾患に関与していることが報告されているため、本手法は被浸襲な病気の早期診断への応用が期待される。また本粒子は、20塩基対程度の非常に短い鎖長のDNAに対して強い親和性を示したことから、短いDNA断片の回収法として非常に有用であると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
生体から非侵襲でcfDNAを大量に回収する方法を開発した。
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今後の研究の推進方策 |
がんの早期診断への有効性を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
非侵襲で収集できる尿から大量なcfDNAを回収できることが明らかとなり、尿中cfDNAを用いたがんの早期診断の可能性について詳細に検討したため。
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次年度使用額の使用計画 |
がんの早期診断の有効性を検証する。
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