研究課題
本研究は解熱鎮痛薬アセトアミノフェンをモデル材料として、経時安定性に優れた準安定形Ⅱ形の晶出技術の開発を目的としている。昨年より試みている低過飽和溶液内での高品質な準安定形結晶成長技術の開発を進めた他、イブプロフェンやアスピリン等、他の医薬候補化合物の準安定形結晶化にも取り組んだ。1.超音波印加で得たアセトアミノフェンⅡ形微結晶を含む少量の飽和溶液を作製し、別途用意した低過飽和溶液に微結晶を滴下(シーディング)し、徐冷法を使って準安定形の結晶化を行った。滴下結晶サイズを小さくし、さらに滴下後の低過飽和溶液に超音波を印加することで、平均サイズ0.4mm(c軸長さ)で大きさの揃った高品質Ⅱ形結晶を得ることに成功した。さらに、成長中の容器に加減速容器回転攪拌(ACRT: Accelerated Crucible Rotation Technique)を導入し、溶液量の制限を受けることなく高品質結晶が作製できることを実証した。2.三水和物飽和溶液から溶液媒介相転移を使ってⅡ形結晶を作製する新手法については、成長駆動力が小さくなる低温条件(三水和物とⅡ形結晶の溶解度差が小さい)に加え、上記と同様にシーディング結晶の微結晶化を導入することで、結晶の大きさが揃い、結晶欠陥の少ないⅡ形結晶が得られることを明らかにした。加速劣化試験においても、前年度までの結晶に比べ、経時安定性が大幅に改善していることが確認できた。3.アセトアミノフェンに加え、イブプロフェン融液からの準安定形Ⅱ形結晶、アセトニトリル溶液からのアスピリン結晶の準安定形Ⅱ形結晶の晶出にも成功した。一方、それぞれ安定形への転移も確認されており、アセトアミノフェンの先行研究で培った完全選択晶出条件、低速成長条件を確立することで、経時安定性に優れた高品質結晶実現につながると期待できる。
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Applied Physics Express
巻: Vol.10, No.2 ページ: 025501-1-4
https://doi.org/10.7567/APEX.10.025501
巻: Vol.10, No.1 ページ: 015501-1-4
https://doi.org/10.7567/APEX.10.015501