研究課題/領域番号 |
15K14943
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
竹内 俊文 神戸大学, 工学研究科, 教授 (70179612)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 分子認識 / バイオマーカー検出 / タンパク質 / 分子インプリンティング / ポストインプリンティング処理 |
研究実績の概要 |
27年度は、モデル腫瘍マーカーとして前立腺特異抗体(PSA)およびPSAのα1-アンチキモトリプシン複合体(PSA-ACT)を用いた。まず、PSAとPSA-ACTの分子インプリントポリマー(MIP)を表面プラズモン共鳴(SPR)センサ基板上に作製のため、PSAとPSA-ACTを金蒸着SPRセンサ基板上に固定化した。原子移動ラジカル重合(ATRP)の開始基α-ブロモ酪酸を末端にもつアルカンチオールとカルボキシ基を末端にもつアルカンチオールの混合自己組織化膜をセンサ基板上に形成させた。次に、PEGリンカーを介してPSAまたはPSA-ACTを固定化した。まずPSAを認識するMIPが合成可能か検討するために、PSA固定化基板に、PIMのための機能性モノマーMEBA、コモノマーとしてMPC、架橋剤としてメチレンビスアクリルアミドを添加して膜厚が約20 nmになるように表面開始AGET-ATRPを行った。PSAを固定化してあるリンカーのジスルフィド部位をTCEPにて還元切断してPSAを除去し、PSA-MIPを得た。SPRセンサにてPSAの吸着特性を評価したところ、10 ng/mL程度のPSAが測定可能であることが分かった。PSA-ACTに対するMIPについても、PSAと同様の結果を得た。次に、PEGキャッピング剤でポリマー中のMEBA残基を処理すると親和性が変化したことから、キャッピング処理の効果が確認された。さらに、PSAインプリント空間への蛍光分子の部位特異的標識を行った。PSAを還元除去した後に結合空間内に残された遊離のチオール基に試しに蛍光分子(フルオレセイン)を標識したところ、PSA添加に対して蛍光強度が変化し、結合情報を蛍光変化で読み出せることが分かった。以上のように本研究の要素技術は全て実行可能と確認されたので、今後、予定している研究計画に従い、研究目的を達成する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定している研究計画に沿ってほぼ予定通り研究は遂行している。27年度に計画していた「PSA/PSA-ACT 混合MIPの合成」を唯一行うことができなかったが、要素技術は全て確認できたので、特に大きな遅延に繋がることはない。
|
今後の研究の推進方策 |
今後も、研究計画どおり研究を遂行する。27年度に計画していたPSA/PSA-ACT 混合MIPの合成が未実行であったが、想定の範囲内であり、今後の計画に大きな影響を及ぼすことはない。
|
次年度使用額が生じた理由 |
調達方法の工夫などにより、当初計画より消耗品購入費、旅費などが節約できたため。
|
次年度使用額の使用計画 |
標的タンパク質の購入に当てる
|