研究課題
本研究では、非侵襲的な肺胞幹細胞移植の実現を目指して、肺胞幹細胞の凍結乾燥技術および幹細胞の吸入製剤化技術の構築を行った。さらに、製剤の有効性および安全性を明らかにすることを目的として研究を行った。肺胞再生治療法が確立できれば、治療法のない慢性閉塞性肺疾患(COPD)や難治性の肺線維症の根治、外科的手術後の肺再建が可能となり多くの患者の命を救う革新的な再生治療技術となる。申請者は、COPDの根治的治療法の確立を目指して、破壊された肺胞の再生を作用点とする新規化合物の探索を行った。その結果、世界に先駆け、合成レチノイドAm80やPI3K阻害剤などがヒト肺胞上皮幹細胞を効率的に分化誘導し肺胞再生効果を有するという新規の知見を発見した。軽度の肺胞破壊モデルでは発見した分化誘導剤が肺胞の再生を誘導する優れた効果を示したが、完全に肺胞構造が破壊された重症例では分化誘導剤の投与のみでは肺胞再生効果が不十分であり治癒には至らなかった。一方で、幹細胞を肺に直接移植すると顕著な肺胞の修復が確認されているが、非侵襲的に肺胞幹細胞を移植する製剤は存在しない。本研究では、重篤な肺胞破壊病変の再生を可能とする非侵襲的な肺胞幹細胞移植の実現を目指して、当研究室の山下教授が開発した凍結乾燥法を基盤とした粉末吸入システム(世界72ヶ国で特許取得済み、(2010))を用いたヒト肺胞幹細胞の凍結乾燥吸入製剤を開発を行った。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 4件) 産業財産権 (1件) (うち外国 1件)
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