研究課題
我々の新製法によるC. albicans 由来分画は,in vitroでneutrophil extracellular trap(NET)を誘導する活性として知られているlipopolysaccharide と同等のNETs誘発率を認めた.これは従来のC. albicans 由来分画 (アルカリ抽出法)よりも有意に高率だった.この新しいC. albicans 由来分画はマウス皮下組織に過剰なNETs形成を誘発した.このC. albicans 由来分画の6週間の反復投与により野生型マウスは検尿異常(尿タンパク陽性,尿潜血陽性),ANCA 抗体価の上昇,肺の壊死性小血管炎,肺胞出血,細胞性半月体を伴う分節性壊死性糸球体腎炎を来たし,低頻度ながら末梢神経炎を合併した.これらの所見はヒトのMPAに非常に類似するため,この方法を用いることにより,マウスにMPAを模した小血管炎を再現できることが明らかになった.このMPAマウスモデルでは,生体内でNETsの誘発から疾患発症までを観察できることから,MPAの病態解明と新たな治療法の有効性の評価に有用と思われる.Phosphoinositide 3 kinase gamma (PI3Kγ)はPI(3,4,5)P3 産生酵素の1つで好中球のROS産生や遊走に必須である.PI3Kγ欠損マウス由来好中球では,in vitro およびin vivo でNETs形成が有意に抑制された.PI3Kγ欠損マウスに前述の方法でMPA様小血管炎を誘発した結果,検尿異常,ANCA 抗体価,肺および腎のMPA関連病変の重症度は軽減された.以上から,PI3KγはMPA治療において有望な標的分子となり得ることが示唆された.
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