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2015 年度 実績報告書

メチオニンによる腸幹細胞の増殖制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 15K14949
研究機関東京大学

研究代表者

小幡 史明  東京大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (40748539)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2016-03-31
キーワード腸幹細胞 / 代謝 / メチオニン / SAM / メチル化 / 細胞増殖 / 翻訳 / 寿命
研究実績の概要

腸の恒常性は腸幹細胞(ISC)の持続的な増殖によって達成されるため、その増殖は厳密に制御されている。本研究ではショウジョウバエの中腸をモデルとして、メチオニンの代謝産物であるSアデノシルメチオニン(SAM)がISC増殖を制御することを明らかにした。SAMは大腸菌からヒトまで進化的に保存された普遍的なメチル基ドナーである。そこでSAMの下流でISC増殖を制御するメチル基転移酵素(MTase)を探索した結果、翻訳に関係するいくつかのメチル化ターゲットを絞り込むことができた。このことから、摂取したメチオニンが、腸細胞内でSAMへと代謝された後にメチル基供与体として働き、翻訳を制御することで腸幹細胞増殖を調節していることが明らかとなった(論文投稿準備中)。
一方、腸の恒常性は個体の寿命に影響することから、メチオニン代謝と寿命との関係についても解析をおこなった。その結果、加齢にともなって個体全体のSAM量が増加することが明らかとなった。そこでSAM量を代謝調節する酵素であるGnmt(グリシンNメチルトランスフェラーゼ)を過剰に発現させて、加齢に伴うSAM量増加を抑制したところ、個体の寿命が延長することを見出した。Gnmtは、栄養制限によって活性化する転写因子であるdFoxOによって制御されている。予想通りGnmtの変異体では栄養制限による寿命延長が見られなかった。このことから、GnmtによるSAM量制御が寿命を決定する重要な要素であることを明らかにした。本研究成果については英国誌Nature Communicationsに発表した。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Enhancing S-adenosyl-methionine catabolism extends Drosophila lifespan2015

    • 著者名/発表者名
      小幡史明、三浦正幸
    • 雑誌名

      Nature Communications

      巻: 6 ページ: 8332

    • DOI

      doi:10.1038/ncomms9332

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] Enhancing S-adenosyl-methionine catabolism extends Drosophila lifespan2015

    • 著者名/発表者名
      小幡史明、三浦正幸
    • 学会等名
      European Drosophila Research Conference
    • 発表場所
      Heidelberg, Germany
    • 年月日
      2015-09-09 – 2015-09-12

URL: 

公開日: 2017-01-06  

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