独自に確立した方法に基づいて作製したフコシル化糖鎖シアリルルイスXに対する抗糖鎖モノクローナル抗体を用いた解析の結果、数種のヒト大腸がん細胞株において同糖鎖抗原の明確な発現を認めた。そこでシアリルルイスXを発現しないマウス大腸がん細胞株CT26に同糖鎖抗原の発現に関わるフコース転移酵素Fuc-TVII 遺伝子を導入し、安定発現株を樹立した。同細胞株および親株をBALB/cマウスに尾静脈内注射し、肺への転移を比較解析したところ、転移結節の数には有意な差を認めなかった。現在、それらのがん細胞株を尾静脈内注射したマウスに一定間隔で抗シアリルルイスX抗体を投与し、肺転移巣におけるFucT-II安定発現株および親株の増殖に対する効果を検討中である。
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