コリンは栄養素として外因性に供給される以外に、細胞膜ホスファチジルコリン(PC)の分解からも生じるが、本代謝経路を担う酵素の実体と意義は不明であった。我々は脂質代謝酵素PNPLA8(ホスホリパーゼA)とPNPLA7(リゾホスホリパーゼ)の欠損マウスの解析を通じて、PNPLA8→PNPLA7経路が肝臓においてPCから内因性コリンを動員する主経路であることを明らかにした。本経路が遮断されるとコリン及びその下流代謝物が激減し、成長遅延、早老、白色脂肪褐色化、低血糖、VLDL低下、ケトン体増加、脂肪肝、神経変性を発症する。本研究は、PCのリサイクル利用の生物学的重要性を初めて明らかにしたものである。
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