研究課題
昨年度までの研究により見出したprostaglandin E2 (PGE2)の神経分化誘導作用のメカニズムを検討した。パッチクランプ法による細胞膜電流の測定を行ったところ、PGE2で処置したNSC34細胞は、分化誘導薬として用いられるレチノイン酸を処置した細胞と同様な電気生理学的特性を示した。また、分化マーカータンパク質の発現変化についても検討を行ったところ、ニューロンへの分化を促進を示すマーカータンパク質の発現は、PGE2の処置により顕著に増加することが明らかになった。一方で、細胞障害性を示さない濃度のPGE2の長時間曝露で誘導されたEP2受容体の発現増加機構の検討を行ったことろ、 EP2 選択的阻害薬である PF-04418948 (1 μM) の併用によりEP2の発現増加は抑制されたが、EP3選択的阻害薬であるL-798,106 (1 μM) の影響は受けなかった。以上の結果より、分化後の NSC-34 における比較的低濃 度の PGE2 曝露は、EP2 を介して EP2 の発現を上昇させ、この上昇が PGE2 による細胞 死の増強を引き起こすことが示された。さらに、これまでに合成・機能評価を行ってきたナノサイズ(約50 nm)の酸化グラフェンシートのドラッグデリバリーキャリアとしての優位性を検証するため、汎用されている通常サイズの酸化グラフェンシート(約500-1000 nm)を合成し、細胞毒性を検証した。その結果、通常サイズの方が高い毒性を示すことが明らかになった。加えて、異方性金ナノ粒子/グラフェン複合体に関して、ナノ粒子表面/グラフェン間の距離をシリカスペーサーの挿入によって約15 nm程度離したところ、近赤外レーザー照射による過度な熱生成はある程度抑制可能であることが確認された。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) 図書 (1件)
Neurochem Int.
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1016/j.neuint.2017.06.013.
J Pharmacol Sci.
巻: 135 ページ: 64-71
10.1016/j.jphs.2017.09.001.
Cell Mol Neurobiol.
巻: 37 ページ: 445-452
10.1007/s10571-016-0377-9.