研究実績の概要 |
カテキンオリゴマーから成るプロアントシアニジン(PA)のin vitroでの細胞増殖促進作用をin vivo で検証すべく、ラット部分切除肝再生モデルを用いてPAの反復経口投与の影響を検討した。試験は正常ラットおよびストレプトゾトシン (STZ) 糖尿病ラットを用いた。正常ラットの試験ではPAを100 mg/kg/dayの割合で1週間経口投与後、肝部分切除手術を行った。術後2時間後および翌日以降PAの投与は継続した。肝および血清のサンプリングは、d0, d1, d3, d5およびd10で行った。STZ糖尿病ラットの試験においてもPAは同様に経口投与し、肝部分切除手術も同様のタイミングで行った。肝および血清のサンプリングは、d0, d1およびd3で行った。しかしながら、正常ラットおよびSTZ糖尿病ラットのいずれにおいても肝体重比、血清アルブミンなどの肝再生パラメータにおいてPAの有意な影響は認められなかった。再生肝の組織所見および急性および慢性炎症反応や細胞増殖、アポトーシスなどの数多くの生理現象に関与している転写因子であるNFk-B遺伝子の発現においてもPAの有意な影響はみられなかった。PAを構成するカテキンオリゴマーの消化管からの吸収性が低いことから、腸内細菌叢に対する影響に焦点を移し、マウスを用いて100 mg/kg/dayの割合で約5週間PAを経口投与後のエクオール産生菌に対する影響を調べたが、有意な影響は検出できなかった。今後は、摘出臓器での影響を検討していく。
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