研究課題
研究申請書の年次計画に従って実験を進めた。代表的なカテキンである(-)-epigallocatechin-3-O-gallate(EGCg)のA環に長鎖アルキルカルボン酸を結合させた誘導体を化学合成し、二種類の磁気ビーズにNHSエステルとカルボジイミドを用いてカップリングさせた。ネガティブコントロールとしてアルキル鎖のみを固定化した磁気ビーズを作製した。これらの磁気ビーズを用いて神経系細胞抽出液(膜画分)からカテキン結合タンパク質を精製し、質量分析法によりタンパク質を解析した。その結果、ネガティブコントロール用磁気ビーズには結合せず、二種類のカテキン磁気ビーズの両方に結合する複数のタンパク質を同定した。複数回行った実験で再現性が得られたタンパク質の中から二つの分子(遺伝子Aと遺伝子B)に着目し、これらのタンパク質を安定的に発現する過剰発現細胞を作製した。初年度までの研究で、遺伝子Aは脂溶性カテキン誘導体によるβセクレターゼ活性抑制作用に、遺伝子Bはネプリライシン活性増強作用への関与を示唆するデータを得たが、本年度は遺伝子Aもネプリライシン活性増強作用に関与することが分かった。現在、RNAiを用いたノックダウン細胞で整合性のある結果が得られるかを確認している。さらに、様々な界面活性化剤で可溶化した膜画分や可溶性画分を用いて、引き続きカテキン結合タンパク質の同定を進め、上記遺伝子Bに関連するタンパク質を新たなカテキン結合分子として同定した。また、遺伝子A、遺伝子Bのリコンビナントタンパク質の精製も行っており、今後Biacore等を用いて分子間相互作用を詳細に解析していく予定である。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件) 備考 (1件)
分子精神医学
巻: 17(2) ページ: 143-145
神経治療学
巻: 33(5) ページ: 425-427
10.15082/jsnt.33.3_425
http://www.ph.nagasaki-u.ac.jp/lab/biotech/research.html