研究課題
Agelastatin A(AA)は、抗がん剤の魅力的な創薬資源として注目を集める天然物である。本研究では、本天然物の化学修飾と構造活性相関研究を基盤として、agelastatin A(AA)をモチーフとする脳腫瘍の新規治療薬の創製に挑む。これまでの国内外での関連研究により、AAの化学修飾による誘導体化は悉く活性低下をもたらすことが知られていた。しかし、我々が最近の研究によって得た‘AA の1位窒素上置換基及び13位置換基の構造修飾が高活性誘導体の創製に繋がる’という新知見は、高い活性を備えたAA誘導体の創製が困難とされてきたこれまでの常識を一変し、今後の構造最適化における強力な指針を与えている。昨年度には、AA誘導体の迅速な獲得をもたらす化学合成手法の確立を目指して研究を進め、入手容易な既知化合物から総10工程にてAA並びにAA誘導体に至る合成経路を開拓することに成功した。本平成28年度においては、1位窒素原子上の置換基にリンカーを介してビオチンを連結させたケミカルプローブの創製を試みた。その結果、三種類の新規誘導体の創製に成功した。残念ながら、これら三種の化合物は活性を消失することが明らかとなったが、ケミカルプローブの分子設計に重要な指針を得ることができた。また、本研究の途上で開発した過マンガン酸塩-トリメチルシリルアジド反応剤によるラジカルアジド化反応に関してさらなる条件検討を進めた結果、酸素存在下、アルケンの触媒的オキシアジド化が進行することを見出した。以上の研究により、脳腫瘍薬の創製に資する優れた活性を示す新規AA誘導体を獲得するとともに、今後のさらなる構造最適化を加速する化学合成手法と分子設計指針の確立に成功した。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 2件、 査読あり 5件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件) 産業財産権 (1件) (うち外国 1件)
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