本研究を通じて人工抗体分子作成のために必要とされる天然アミノ酸配列のチオエステルへの変換法、2種類の開発に成功した。一つは特定の配列に対するNi(II)の配位とこれに引き続く4回のアシル基転移反応からなる反応である。もう一つは位置選択的な特定システイン残基に対するシアノ化とこのシアノ化システインを対象としたヒドラジンによる開裂反応である。生成したペプチドヒドラジドは容易にチオエステルへの反感が可能である。これら二つの反応は化学的に天然ペプチド配列をチオエステルに変換しうるものであり、従来にない画期的な反応である。
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