研究課題
ゲノム編集技術が急速に発展し、霊長類由来の培養細胞でも体細胞遺伝学手法が適用できるようになってきた。アフリカミドリザル腎臓由来Vero細胞は病原体感染細胞として最も実績のある培養細胞である。我々は、Vero細胞の全ゲノム配列を最近決定した(Osada et al 2014 DNA Res, 21, 673-683)。フラビウイルス科ウイルスには、日本脳炎ウイルス、西ナイルウイルス、デングウイルス、黄熱ウイルス、ジカウイルスなど重篤なヒト感染症の原因ウイルスが数多く属し、その多くはVero細胞での増殖が可能である。本研究課題では、我々が準備したVero細胞ゲノム情報を基盤にして、フラビウイルスもしくはその他のウイルスの増殖性が亢進した新規細胞亜株を作製するための実験条件を整備し、そのような亜株を取得することを目的とし、以下の成果を得た。Vero細胞クローン化条件の設定:体細胞遺伝学的アプローチには、モノクローナルな細胞分離法が不可欠であるがVero細胞にはクローン化の確立した方法がなかった。日本脳炎ウイルス感受性を高く維持したままVero細胞をクローン分離できる条件を試行錯誤の末に設定できた。Vero細胞に対するヒトゲノムsgRNAライブラリ適用性の解析:ヒトCRISPR sgRNAライブラリがサル由来のVero細胞に適用出来るか検証するため、志賀毒素に対する耐性を指標としたゲノムワイドスクリーニングを行った。その結果、受容体スフィンゴ糖脂質Gb3の生合成に必須な遺伝子等予想される遺伝子が網羅的に同定出来たことから、ゲノムワイドスクリーニングにVero細胞を用いる目途が付いた。遺伝子改変に適した親細胞株の設定:日本脳炎ウイルスに対する感受性の維持や核型の安定性などを比較検討し、ウイルス増殖性改良型Vero細胞を遺伝子改変で作製する際に適した親株となるVero細胞株を選定した。
すべて 2017 2016 その他
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (2件)
Osong Public Health and Research Perspectives
巻: 8 ページ: 91-103
org/10.24171/j.phrp.2017.8.1.13
http://www.niid.go.jp/niid/ja/chlamydia-pneumonia-m/818-biochem/5752-vero.html
http://www.niid.go.jp/niid/ja/chlamydia-std-m/1880-biochem/3255-2013-02-25-05-58-54.html