研究課題/領域番号 |
15K14998
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
楠原 洋之 東京大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (00302612)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | トランスポーター / CRISPR Cas9システム / ライブラリー / レンチウィルス |
研究実績の概要 |
本研究では、トランスポーター遺伝子を標的とした遺伝子スクリーニングを実現可能とするため、CRISPR-Cas9システムに基づいたトランスポーターノックアウトライブラリーの構築を目的として以下の試験を行った。ヒト全SLCトランスポーター遺伝子に対してguide RNAをデザインし、対応するDNA断片をプラスミドに回収した。当初、抗生物質で遺伝子導入された細胞を選択する予定であったが、抗生物質を用いた薬剤セレクションでは、感染後細胞のコロニーの形成・単離に時間がかかることから、簡便に判別がつくよう、感染後GFPを発現するタイプのCRISPRベクターに変更した。実際に、調製法を検討し、レンチウィルスをプロトコールに従い調製する段階にまで至った。SLC2A6、SLC35F2の2つの遺伝子に対して、内在性に高発現している細胞(それぞれRAW264.7、PC3細胞)に対してCRISPR Cas9システム-レンチウィルスを感染させたところ、感染後、細胞死が認められた。GFPの確認が認められたことから、感染は成立しているものの、遺伝子の欠損の確認には至っていない。これはウイルス濃度にも依存しないことを確認している。現段階では、宿主細胞の特質によるものか、遺伝子由来によるものかは結論を得るに至っていない。細胞の更新ならびに細胞培養法を見直す。ウィルスを用いた場合、感染成立したものの多くで十分量の目的遺伝子を導入することができるため、シングル化せずにある程度のポピュレーションで使用しても結果が得られることも期待される。lenti-CRISPR v2を使用して、本方法も再検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定通り、既存のトランスポーター遺伝子に対してguide RNAをデザインし、ウィルスに導入するまでの前段階まで達成した。Proof of Conceptを得るために実施した試験では、内在性に発現しているトランスポーターに対して、ライブラリーウィルス感染後、死滅が認められた。細胞が生存することがスクリーニングの前提となるため、この点を改善する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
細胞の培養条件を見直すこと。非発現細胞に当該ウィルスを感染させ、細胞死がトランスポーター遺伝子の欠損によるものであるのか検証するととともに、当初の計画通り、ポピュレーションでのノックアウト効率の評価についても検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初と異なり、標的遺伝子を対象とした試験において、細胞およびベクターの再検討が必要となった。そのため、当該年度よりも細胞培養にかかる経費等が減少した。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度、ライブラリー適用のための細胞種・培養条件、ライブラリーベクター等の見直しを行うなど、トランスポーターのノックアウトライブラリー構築に向けて必要な消耗品(ベクター、細胞、細胞培養器具等)に使用する。
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