研究課題/領域番号 |
15K14999
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
中島 美紀 金沢大学, 薬学系, 教授 (70266162)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | マイクロRNA / SNP / 遺伝子多型 / 個人差 / バイオマーカー |
研究実績の概要 |
日本人におけるmiRNA-SNPの網羅的解析と、分子標的薬の薬効や副作用のバイオマーカーとなるmiRNA-SNPを同定することを目的としている。初年度は健常人20名、ゲフィチニブで治療中の非小細胞肺がん患者24名およびレゴラフェニブで治療中の大腸がん患者13名を対象とした。 今年度は抗体医薬であるモガムリズマブで治療中の成人T細胞白血病/リンパ腫 (ATLL) 患者21名を対象に解析を行った。血液試料よりゲノムDNAを抽出し、約1,800種類のprecursor miRNAをコードする領域をターゲットとして、次世代シークエンス解析によりmiRNA-SNPを網羅的に解析した。 リファレンスシークエンスと比較して、同定されたmiRNA-SNPの数は、一人あたり平均約150種類であり、健常人とATLL患者でその数に有意差は認められなかった。ATLL患者の場合、血液由来のゲノムDNAを試料として用いていることから、germ line mutationに加えて somatic mutaionも検出される可能性が考えられるが、同定されたmiRNA-SNPの数が健常人と大差なかったことは興味深い。健常人とATLL患者の間で遺伝子頻度に有意差が認められるmiRNAを探索したところ、13種類同定された。それらの多くは固形がん患者のプロファイルとは異なるものであったことから、これらはATLLの罹患リスクバイオマーカーとなる可能性が示唆された。また、重篤な皮疹を発症した患者と発症しなかった患者で遺伝子頻度に有意差が認められるmiRNAを特定し、副作用のバイオマーカーとなり得ることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
がんの罹患リスクマーカーあるいは分子標的薬の副作用発症バイオマーカーとなり得るmiRNA-SNPを絞り込んだ。
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今後の研究の推進方策 |
分子標的薬の効果に関する臨床情報を収集し、薬効予測が可能なmiRNA-SNPの同定をめざす。また、検出力をアップさせるためにもサンプル数を増やし、さらに解析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画に変更があり、今年度までに得られた研究成果を含め、次年度、国際学会に出席して研究発表をするため。
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次年度使用額の使用計画 |
ドイツ・デュッセルドルフまでの航空運賃と宿泊費等、2名分
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