研究課題/領域番号 |
15K15006
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
城野 博史 熊本大学, 医学部附属病院, 准教授 (40515483)
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研究分担者 |
安東 由喜雄 熊本大学, その他の研究科, 教授 (20253742)
有馬 英俊 熊本大学, その他の研究科, 教授 (50260964)
白木 伸明 東京工業大学, 生命理工学研究科, 准教授 (70448520)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 高機能性遺伝子キャリア / アミロイドーシス / 家族性アミロイドポリニューロパチー |
研究実績の概要 |
本研究期間内に、新規マルチターゲット型アミロイドーシス治療薬(GUG-β-CDE)の有用性を検証するため、家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP)を対象に以下の検討を行った。 【1】GUG-β-CDE の原因遺伝子発現抑制効果の評価:ヒト肝癌由来細胞株(HepG2)における検討において、siRNAによるトランスサイレチン(TTR)遺伝子発現抑制効果を発揮する、GUG-β-CDEの至適チャージ比(キャリア/siTTR)が100 以上であることが明らかとなった。 【2】GUG-β-CDE のアミロイド線維化抑制作用の評価:チオフラビンT解析により、GUG-β-CDEのアミロイド線維形成抑制効果は、高い持続性を持って(6時間以上)デンドリマーと同等の抑制効果を示すことが確認された。 【3】GUG-β-CDE のアミロイド線維の組織沈着阻害作用の評価:FAPモデル動物(ATTR V30M遺伝子組換えTgラット:ATTR V30M Tgラット)を用いた検討から、GUG-β-CDEの投与によりTTRアミロイド線維の組織沈着阻害効果が確認された。 以上、【1】~【3】の結果より、アミロイドーシスの発症過程の3ステップを同時に抑制するマルチターゲット型アミロイドーシス薬としての治療コンセプトが一部確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題では、GUG-β-CDEの新規マルチターゲット型アミロイドーシス治療薬としての有用性の検証を目的としているが、本年度の結果から、GUG-β-CDEは、1.原因タンパク質の発現を抑制することを目的としたsiRNAの遺伝子キャリアとして機能すること、2.遺伝子キャリアとしての機能を有しながらアミロイド線維形成抑制効果を示すこと、3.疾患モデル動物を用いた解析においてもアミロイドの組織沈着を抑制しうること、等の成果が得られており、次年度以降計画しているの薬効評価・作用機序の解明を遂行する上で十分な基礎的知見を得ている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に得られた研究成果をもとに、今後の研究推進方策として 1.FAP患者由来iPS細胞(FAP-iPS細胞)を用いたGUG-β-CDEの原因遺伝子発現抑制効果の評価 2.GUG-β-CDE のアミロイド線維化抑制メカニズムの解明 3.ATTR V30M Tgラットを用いた、GUG-β-CDE のアミロイド線維の組織沈着阻害作用の評価および薬理試験・毒性試験 上記の検討を行い、本剤の新規治療薬としての有用性の検証を継続して実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
細胞の準備等、当初の予定通り実験が進まなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
iPS細胞を用いた遺伝子発現抑制実験に使用予定である。
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