研究課題/領域番号 |
15K15009
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研究機関 | 国立医薬品食品衛生研究所 |
研究代表者 |
斎藤 嘉朗 国立医薬品食品衛生研究所, 医薬安全科学部, 部長 (50215571)
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研究分担者 |
児玉 進 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (20621460)
中村 亮介 国立医薬品食品衛生研究所, 医薬安全科学部, 室長 (50333357)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ゲノム / HLA / 副作用 |
研究実績の概要 |
横紋筋融解症をはじめとする薬物性筋障害は,重症の場合,腎不全から死に至る重篤副作用である.筋芽細胞を用いたin vitro研究で,アポトーシスに至る複数の機序が検討されているが,矛盾する知見も多く,発症機序は不明である.我々は薬物性筋障害を発症した日本人患者のゲノム解析で,スタチン投与発症患者において有意に関連するHLA-DRB1型(タイプ)を発見し,初めて免疫系分子の薬物性筋障害への関与を示唆する結果を得た.本研究は,「構造の異なるスタチン薬(およびその代謝物)の当該HLAタイプへの直接結合とその強度を測定し,スタチンによる筋障害発症の分子論的機構の一端を明らかにすること」を目的とする.平成27年度および平成28年度は,発症に関連するHLA-DRB1タイプのcDNAに関して設計を行った.即ち,ヘテロ2量体を形成する可溶性タンパク質として大量生成するため,分子の膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインを除いたものとした.各cDNAをクローニングし,配列を確認後,遺伝子を発現するベクターを構築した.さらに発現ベクターをHEK293細胞へトランスフェクションし,発現を確認した.また相互作用測定のための複数の機種の条件検討も併せて行った.平成29年度は,これら研究を継続した.ヘテロ2量体として大量発現させることが必要なため,同一ベクターにHLA-DRA1とHLA-DRB1を組み込む方法やリンカーで2遺伝子を結合して発現させる方法も検討した.また陽性対照となるHLA-DRB1型と医薬品との組合せについて文献調査した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
その後の遺伝子解析で,当該HLA型の筋障害への関連性が小さくなって来たため,他のHLA-DRBが関連する例を陽性対照とすべく文献調査を行った.筋障害では医薬品とHLA-DRB遺伝子型との関連は他に報告されていないが,薬物性肝障害で,アモキシシリンによる発症とHLA-DRB1*15:01の関連,ネビラピンによる発症とHLA-DRB1*01:01の関連は報告が複数あるため,エビデンスレベルは高いと考えられることから,陽性対照とすることとした.
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今後の研究の推進方策 |
In houseでの発現を継続するが,HLA-DRB1*15:01及びHLA-DRB1*01:01については,それぞれHLA-DRAとのヘテロ2量体がカスタム合成で外注できるため,使用するタンパク質については柔軟に研究を進めていく予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究所の移転に伴い,機器の使用が数ヶ月不可能であったこと,移転作業に想定以上に時間を取られたこと,またHLA-DRB1とHLA-DRA1の共発現に手間取っていることから,次年度の使用(延長)を申請した. 平成30年度には,陽性対照とするHLA-DRB1*15:01またはHLA-DRB1*01:01の発現に主として使用する予定である.
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