研究課題/領域番号 |
15K15010
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
水谷 武臣 北海道大学, 先端生命科学研究科(研究院), 助教 (40451405)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 生物物理学 / メカノセンス / 細胞協調 |
研究実績の概要 |
胚発生過程では、細胞集団が協調的に運動することで器官のような3次元構造を形成します。しかしながら、細胞集団による協調的な運動のメカニズムは不明です。本研究課題では、細胞-基質間ならびに細胞-細胞間の力学量計測を通じて、細胞集団による協調的な運動のメカニズムを解明します。そのために、2次元もしくは3次元環境下で各種細胞株の運動を観察するシステムを構築します。また、細胞集団の周辺のゲル基質を染色し、蛍光像の時間変化から細胞外基質における応力分布を解析するプログラムを開発します。数値シミュレーションを用いることによって、細胞集団の協調的運動に適した数理モデルを構築します。本年度は、細胞核を蛍光ラベルしタイムラプス観察することで、細胞集団における個々の細胞の運動を評価する技術を確立し、細胞運動の持続時間の計測が可能になりました。また、遺伝子改変細胞の集団が出す力を評価するシステムを構築しました。これにより、ヒトAAVS1遺伝子座への遺伝子改変には、細胞の力が変化することを明らかにしました。また、細胞外基質の粘性を変化させた際に、細胞集団の運動性ならびに細胞集団から成る3次元組織の形状に大きな影響が生じ、3次元形状は、細胞の力と基質の物性とのバランスによって決定されることを明らかにしました。更には、細胞外基質の弾性変化は、細胞運動様式を大きく変化させることも発見しました。これらの研究成果ならびに新しい知見を研究集会(2015年 水谷武臣、第10回細胞運動研究会)で発信しています。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上皮細胞集団における細胞-細胞間の力学情報の計測に成功しているため。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画したとおりに進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末に執筆した論文の投稿費用の請求が次年度に跨いでしまったために、繰り越し手続きを行った。
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次年度使用額の使用計画 |
上述した論文費の繰り越し分を除き、当初の計画通りに進めていく。
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