研究課題/領域番号 |
15K15011
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
鬼島 宏 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90204859)
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研究分担者 |
下田 浩 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20274748)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 血管新生 / 腫瘍細胞 / 浸潤性増殖 / 血行性転移 / リンパ行性転移 |
研究実績の概要 |
癌の発育・進展には、腫瘍細胞の浸潤性増殖とならび、腫瘍血管新生が重要である。我々は、癌浸潤病巣で「毛細血管・毛細リンパ管」両者の性質を有する脈管が新生される現象を把握してきている (血管リンパ管新生 angio-lymphatic genesis)。本研究では、「血管リンパ管新生」の機序を解明し、この脈管が小静脈・小リンパ管へと連結することで、腫瘍の血行性・リンパ行性転移を惹起することを証明する。 はじめに、内視鏡的に切除された早期胃癌を用いて、血管マーカー (factor Ⅷ related antigen) およびリンパ管マーカー (podoplanin) の二重免疫染色を行い、癌初期浸潤と血管リンパ管の関連を組織学的に解析した。この結果、腫瘍組織内および腫瘍周囲組織内において血管(静脈)およびリンパ管に加えて、血管リンパ管が新たに形成されていることが証明された(腫瘍脈管新生)。 次いで、三次元培養法を用いて、ヒト線維芽細胞、およびリンパ管内皮細胞・血管内皮細胞を積層して、三次元培養組織モデルを作製した。この三次元組織は、結合組織内にリンパ管を有しており、癌細胞を添加することで、間質浸潤・腫瘍脈管侵襲を経時的に観察可能であった。三次元培養組織に添加された癌細胞が、結合組織内を浸潤し、リンパ管内へと脈管侵襲する組織像を確認できた。今後は、このモデルを使用して、腫瘍脈管の病理組織学的特徴および分子生物学的機序を解明する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
病理組織材料で、「血管リンパ管」の形成が証明された。さらに、三次元培養組織モデルの作成を成功し、癌細胞の脈管侵襲の解析が可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
(1) 病理組織材料で、「血管リンパ管」を含む腫瘍脈管新生の詳細な解析を行う。 (2) 三次元培養法を用いて、癌細胞の間質浸潤・腫瘍脈管侵襲を経時的に観察可能し、その詳細な病理組織学的特徴および分子生物学的機序を解明する。
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