研究実績の概要 |
① Leydig幹細胞の濃縮と回収系の確立:一般にATP-binding cassette (ABC) transporterによるHoechst 色素の排出能に基づきフローサイトメトリーにて解析すると、幹細胞集団がside population (SP)分画に濃縮される。精巣のLeydig 幹細胞もこのSP分画に濃縮されるという報告があり、本研究ではSP分画をソーティングにて採取し、細胞培養に用いた。生後6-8週齢のROSA26 マウス(全身にてβ-galactosidaseを発現)、Green マウス(全身にてEGFP発現;大阪大学・岡部勝博士より供与)の精巣、またはこれらのマウスから実験的に作成した停留睾丸(cryptorchid: haploidの生殖細胞がないため、よりLeydig細胞が濃縮されている)を用いた。精巣細胞をcollagenaseとDNaseにて採取し、 Hoechst 33342 にて染色を行い、セルソーターにてHoechst redとHoechst blue で展開し、色素取り込みの少ないSP分画を回収した。さらにABC transporterの阻害剤VerapamilにてSP分画が消失することも確認した。 ② Leydig幹細胞の培養: 生後4-5週齢の精巣細胞や、①にて濃縮した細胞集団を様々な条件にて培養し、試験管内の増幅を目指した。DMEM, IMDM, DMEM/F12, αMEMなど各種の培地をベースに無血清培地を作成して試した。EGF, FGF2, PDGFなどのサイトカインのや、Tissue culture-coated plateまたは細胞外マトリクスとしてlamininもしくはcollagenにてコートしたプレートなどを試した。温度については37℃と精巣環境に近い32℃の両方を試した。Leydig 細胞マーカーPDGFRA発現する細胞が2週間たっても維持されていた。
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