研究課題
ポリコーム遺伝子群の構成遺伝子であるRae28やPcgf5の心筋特異的高発現または欠損によって心筋が脱落し、拡張型心筋症を発症することを独自に明らかにして来た。従って、心臓発生だけでなく、心筋維持にもポリコーム遺伝子群が重要な役割を果たしていることが解った。これらのポリコーム遺伝子群によってコードされるポリコーム複合体は心臓発生制御において中核的役割を果たしているNkx2.5遺伝子の転写を維持することによって心臓発生を司るだけでなく、細胞の増殖と分化を同時に制御するGemininに対するE3ユビキチンリガーゼとして機能することを独自に見つけた。また、研究室では後者のポリコーム複合体によるGemininタンパク質の安定性制御が幹細胞機能を担っていることを明らかにしている。そこで、本研究ではGeminin遺伝子に蛍光色素タンパク質の遺伝子EYFPをin-frameで挿入したGeminin-EYFPノックインマウスを独自に作成して、Geminin分子をin vivoにおいて可視化するとともに、Gemininタンパク質を直接細胞内に導入することのできる遺伝子組換え型タンパク質Cell-penetrating Gemininを開発し、心筋内のGemininの発現を追跡することによって分裂心筋細胞あるいは心臓幹細胞の候補細胞を同定するとともに、Gemininの発現量を操作することによってその機能制御を行うことを目指した。本研究においては、同定することの出来たGeminin陽性細胞の細胞周期の詳細や心臓幹細胞としての機能の解析を行うまでには至っていないが、本研究成果は、今後、成体心筋の細胞周期制御や心臓幹細胞の心機能維持における役割を明らかにすることに役立つことが期待される。
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PLoS ONE
巻: 11 ページ: 1-14
10.1371/journal.pone.0155558