研究課題/領域番号 |
15K15021
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
門谷 裕一 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (10185887)
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研究分担者 |
二木 杉子 大阪医科大学, 医学部, 助教 (00403014)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 基底膜 / ナイドジェン / ライブイメージング / 顎下腺 / 分枝形態形成 / MMP阻害剤 |
研究実績の概要 |
まず、基底膜ライブ観察システムを構築した。ガラス培養皿に器官培養した胎生13日マウス顎下腺にEGFP標識組換えヒトナイドジェン-1(EGFP-hNid1)含有(10-25μg/ml)培養液を添加し、簡易培養装置を組み込んだ倒立型共焦点顕微鏡上でEGFP-hNid1の局在を経時的に観察した。培養液添加後15-30分でEGFPの蛍光が上皮基底部に明瞭に認められた。毛細血管基底膜にはごく微弱な蛍光が認められた。蛍光を取り込んだ部位が実際の基底膜と一致することがEGFPの局在部位とマウス基底膜ナイドジェン1特異抗体(EML-1)を用いた蛍光抗体法による陽性部位とが一致することで確認できた。観察を継続し、分枝形態形成が進行中の顎下腺上皮基底膜の動態を6時間に渡り追跡することができた。 次に、平成28年度以降に実施予定の研究の一部を前倒し、MMP阻害剤のGM6001, batimastat, actinoninについてそれぞれを顎下腺器官培養系に添加し、各20μM 、5μM、50μM程度で明らかな分枝形態形成の阻害が認められることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り、基底膜のライブイメージングに成功した。EGFP標識組換えヒトナイドジェン-1による基底膜の標識は安定しており、次年度以降の、基底膜ターンーオーバー機構の調査に活用可能であることを示すことができた。一部計画を前倒しにして、基底膜を分解するマトリクスメタロプロテアーゼ(MMP)種々阻害剤の実際の効果を試すことができた点は計画以上の進捗である。これらより、おおむね順調な進行と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
計画に基づいて、基底膜分解にはたらくマトリクスメタロプロテアーゼを明らかにする。この際、共焦点顕微鏡による観察は定量性に欠けることが問題となる。そこで、培養液中に予め既知の濃度のAlexa555ヒドラジドなどの細胞膜非透過性の蛍光色素をリファレンスとして共存させ、EGFPと同一励起波長(Alexa555はEGFP同様488nmでも励起される)で得られたAlexa555とEGFP蛍光強度の比を数値化する等して、各阻害剤の効果を半定量的に比較する。
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次年度使用額が生じた理由 |
備品として試薬保存用冷蔵庫を購入したが、必要容量等を見積もりなおしたところやや小型の機種で十分との結論に達した。これにより物品費の支出に予定額との差額が生じた。また海外の学会での成果発表を予定していたものの、発表申し込みまでに十分な結果が出そろわず、本年度の成果発表を見送った。これにより、発表のための旅費分並びに英文要旨の添削に予定していた謝金分が差額として生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は研究分担者への主に物品費として、20万円を分配する。研究代表者使用分としては、1)物品費としては簡易型倒立顕微鏡(50万円)、実験用マウス(@4000円x25匹)、培養用試薬(20万)、培養用プラスチック類(20万円)、各種阻害剤(25万円)で小計総額125万円、2)学会発表旅費として30万円、3)謝金として5万円、の合計を180万円の使用を計画している。
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