研究課題
がんゲノムの解析によって、固形腫瘍を構成している細胞は決してクローンではなく、むしろ様々な細胞が共生することで腫瘍としての増殖や転移が可能となっていることが示唆されている。そこで本研究ではどのような特徴を持った細胞が共生することががんを構成するために必要であるのかを探索した。腫瘍形成能が比較的低い事が確認されている乳がん細胞株MDA-MD-468細胞株にCRISPR/Cas9ライブラリーの導入によってゲノムに多様な変異を導入し、これらの細胞をマウス個体に移植し腫瘍形成を誘導した。腫瘍形成が確認されれば、この原発巣や転移巣に、どのような細胞が参加しているのかを調べることによって、腫瘍形成に求められる細胞群の形質を明らかにすることを目標としていた。本計画は、以下の四段階からなっていた。(1) ゲノム修飾を誘導するためのCRISPR/Cas9ライブラリーの導入、(2) 免疫不全マウスでの腫瘍形成、(3) 超並列シークエンス解析による腫瘍を構成する細胞集団の決定、(4) 遺伝子変異導入細胞を用いた検証。の4段階である。まずCRISPR/Cas9ライブラリーをMDA-MD-468細胞株への導入を試み、ライブラリーと導入した細胞から抽出したゲノムDNAのシークエンスを行った。その結果、細胞から抽出されたゲノムDNAで見られるライブラリーの多様性は、導入ライブラリーより低下していることが判明した。このことは、in vitroでの細胞死が誘導されたり、細胞増殖が抑制されるクローンが導入された細胞は、他の細胞に比しin vitroでの生存が不利であると予想していたが、その通りにアポトーシス誘導タンパク質などはライブラリー導入細胞には見られなかった。現在、これらの細胞を使って、免疫不全マウスで腫瘍形成嚢の検証を行っている。
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