研究課題
私たちは精神疾患の家系調査を行い、大規模な双極性障害や統合失調症などの精神疾患家系を発見した。これらの家系から、臨床研究倫理委員会、ヒトゲノム・遺伝子解析研究倫理委員会などの承認のもとに血液を採取し、ゲノム解析と疾患iPS細胞の樹立を進めている。これまでの成果として、双極性障害家系研究では、SNPアレイ解析の結果、疾患特異的なホモ接合領域を見出し、その領域の詳細なゲノム構造解析やシークエンス解析を行っている。さらに、疾患iPS細胞についても、家系内患者3名(各3クローン)、家系内健常人1名について樹立が終了した。既に、双極性障害患者由来iPS細胞を神経に分化誘導し、細胞内カルシウムイオンの濃度変化を指標に神経活動を観察し疾患特異的表現系を見出している。この発見は、感情障害患者の神経細胞内カルシウム制御機構の破綻を示す病態であり、その分子メカニズムについて薬理学的手法で解析を進めている。1)統合失調症や双極性障害の疾患大家系群を中心としたゲノム解析により、影響力の強い遺伝子群の候補を見出した。 2)統合失調症と双極性障害の疾患家系より、3人の患者と家系内3人の健常人、家系外3人の健常人のiPS細胞(それぞれ3クローン)を樹立した。3)神経細胞誘導による、細胞レベルでの疾患特異的な病態を見出している。
すべて 2017
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Biochem Biophys Res Commun
巻: 482 ページ: 1327-1333
10.1016/j.bbrc.2016.12.036.