研究課題/領域番号 |
15K15037
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
山縣 憲司 筑波大学, 医学医療系, 講師 (00420084)
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研究分担者 |
堀江 正樹 筑波大学, 医学医療系, 特別研究員 (00723769)
柳川 徹 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (10312852)
磯辺 智範 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (70383643)
蕨 栄治 筑波大学, 医学医療系, 講師 (70396612)
正田 純一 筑波大学, 医学医療系, 教授 (90241827)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 肥満 / サルコペニア / 遺伝子改変マウス / 転写因子 / 脂肪性肝疾患 |
研究実績の概要 |
女性の非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)患者は閉経後に増加することが知られている.我々の作製したp62遺伝子欠損マウス(p62KO)はヒトメタボリック症候群(MS)に類似した表現型を呈するが,その表現型には性差が認められる.そこで,p62KOにおける女性ホルモンの働きに着目し,MSとNAFLDの発症・進展における性差と,女性ホルモンの影響について検討した.15,25,35,50週齢マウスで体重,肝重量および肝組織所見を比較し,その性差について解析した.また,9週齢のメス野生マウス(WT♀)とメスp62KO(p62KO♀)に卵巣摘出手術と偽手術を実施し,体重変動を比較した.さらに15週齢時における1日平均摂餌量を測定した.また,オスp62KO(p62KO♂)にエストラジオール(E2)徐放ペレットを留置し,E2による体重変動および摂餌量を測定した.体重増加と摂餌量:p62KO♂では若齢時より徐々に増加し肥満を形成するのに対し,p62KO♀では30週齢付近で急激に増加した.肝脂肪化:p62KO♂では加齢と共に徐々に脂肪化が進展するのに対し,p62KO♀では35週齢付近で急激に進展する傾向が認められた.卵巣摘出:卵巣摘出と非摘出群の比較において,体重変動はWT♀では二群間に有意な差がなかったのに対し,p62KO♀では非摘出群に比べ,卵巣摘出群で有意な増加を認めた.また,摂餌量はWTでは2群間で有意差を認めなかったのに対し,p62KO♀では非摘出群に比べ,摘出群は0.66 g/mouse/dayの有意な増加を示した.E2効果:p62KO♂にE2を投与した時,非投与群では著しい体重増加を認めたが,投与群では摂餌量が減少し体重増加が抑制された.p62欠損により引き起こされる過食肥満と肝脂肪化は,女性ホルモンE2により抑制されることが明らかとなった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の成果について,国内の学会はもとより国際学会(APASL)においても口演した.
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今後の研究の推進方策 |
本年度において,p62-KOマウスにおけるNAFLD病態の発症はヒトと同様に性差があり,女性ホルモンにより抑制されることが強く示唆された.メスp62-KOマウスは閉経後の女性におけるNAFLD病態の解明に有用なモデルであると考えられた.今後においては,エストラジオールの有するNAFLDの発症と進展における抑止効果のメカニズムを解明していく.
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