研究課題
女性は閉経後にNASHの罹患率が増加する。これには女性ホルモンの分泌低下が関与するとされる。我々の作成したDKOマウスは、過食肥満とインスリン抵抗性を呈し、脂肪沈着,炎症,線維化を伴う肝病変を形成し、ヒトNASHに類似した表現型を呈する。今回は、DKOマウスにおけるNASHの表現型に関する性差を検討し、さらに女性ホルモンの効果について検討した。DKOマウスの8、30、50週齢にて、体重、体組成、摂餌量、肝病理組織、肝炎症性サイトカイン、腸管透過性、血液生化学,血清レプチン濃度、血液・糞便中LPS量を測定した。摂餌量、体重、内臓脂肪量:DKO♂マウスは若齢時から徐々に増加するのに対し、♀マウスは若齢時では野生型と同程度であり、30週齢以降に急激に増加した。レプチン濃度:8週齢時点ではDKO♀は♂と比較し有意に低値であったが、30週齢時点では♂と同程度になった。肝病理組織所見:8週齢では♂、♀ともに正常な組織像であった。30週齢のDKO♂マウスでは脂肪沈着、線維化が生じていたのに対し、♀マウスでは脂肪沈着は♂と比較し軽度であり、線維化は認められなかった。50週齢では♀においても大滴性の脂肪沈着を認めたが、炎症・線維化は♂と比較し軽度であった。肝機能検査:DKO♂では30週齢においてAST、ALPが高値であり、肝細胞障害の悪化が示唆された。腸管透過性:8週齢にて♂、♀ともに亢進しており、血清・糞便中LPS量も♂と♀で差は認めなかった。肝炎症性サイトカイン: TNFα、IL-1βのmRNA発現量はDKO♂は8週齢で増加していた。♀は8週齢では野生型と同程度であり、30週齢以降に増加を認めた。DKO♀マウスにおけるNASH肝病変は♂マウスと比較し軽度であった。この背景には女性ホルモンによる過食肥満の抑制、LPSによる肝炎症応答の抑制が重要であると考えられた。
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