研究課題
概日リズム中枢・視交叉上核(SCN)の神経ネットワークについて、真の中枢時計として概日リズムを発振するのは一部のニューロンで、他のSCNニューロンはこの「真の時計ニューロン」に依存して概日振動を増幅しSCN外へと時間情報を発信する、との仮説を検証し、「真の時計ニューロン」を同定することを目的とする。Bmal1欠損マウス(Bmal1-/-)は概日リズムを示さない。27年度の研究ではSCNの主要なニューロンタイプ2種類、AVPニューロンとVIPニューロンについて、Bmal1-/-においてそれぞれのニューロンタイプ特異的にBmal1の発現を回復して細胞時計の機能を復活させても、いずれの場合も概日行動リズムは回復しないことが分かった。方法は、まずBmal1-/-マウスと、AVPニューロン特異的Cre発現マウスあるいはVIPニューロン特異的Cre発現マウスを交配し、Avp-Cre;Bmal1-/-マウス、Vip-Cre;Bmal1-/-マウスを作製した。次に、これらのマウスのSCNに、Cre依存的にBmal1を発現する組換えAAVベクターを局所感染させ、SCNのAVPあるいはVIPニューロンのみでBmal1が発現し細胞時計が機能するマウスを作製した。27年度の結果を受けて28年度は、Avp-Cre;VIP-Cre;Bmal1-/-マウスを作成し、同様の方法でAVPニューロン、VIPニューロンの両方にBmal1発現の回復を行った。残念ながら、AVPニューロン、VIPニューロン両方にBmal1発現を回復させても、概日行動リズムは回復しなかった。原因としては、①他のタイプの細胞も関与する、②Bmal1-/-マウスではSCN神経ネットワークが正常に発達しておらず、生体マウスになったらBmal1発現を回復しても中枢概日時計としての機能は回復しない、等の可能性が考えられる、
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 謝辞記載あり 1件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)
Glia
巻: 65 ページ: 198-208
10.1002/glia.23087
Front Neurosci
巻: 11 ページ: 55
10.3389/fnins.2017.00055
Proc Natl Acad Sci U S A
巻: 114 ページ: E2476-E2485
10.1073/pnas.1616815114
Curr Biol
巻: 26 ページ: 2535-2542
10.1016/j.cub.2016.07.022
PLoS One
巻: 11 ページ: e0164716
10.1371/journal.pone.0164716