研究課題/領域番号 |
15K15042
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
尾仲 達史 自治医科大学, 医学部, 教授 (90177254)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | オキシトシン / オキシトシン受容体 / 情動 |
研究実績の概要 |
動物は、仲間の個体が敗北姿勢を示しているとき、負の情動反応を示す。この負の情動情報の伝達は自分が経験する前に危険情報を得ることが出来るという意味で生物学的な意義が高い。しかし、その機構は不明な点が多い。例えば、実際に負の情動刺激を経験した個体で活性化されるニューロン回路と、それを観察している個体において活性化されるニューロン回路が同じかどうか分かっていない。 本研究は、実際に社会的な攻撃を受け敗北姿勢を示している個体とそれを観察している個体とで同じ神経系が活性化されるのかを明らかにし、その神経系の機能を明らかにすることを目指す。本年度は、まず、実際に社会的な攻撃を受けた時に活性化されるニューロンを同定することを行った。社会的な攻撃としては、高い攻撃性を示すマウスのホームケージに、実験個体のマウスを入れることで誘発させた。攻撃行動を受けたマウスは、マウスに特徴的な敗北姿勢を示した。攻撃行動を受け敗北姿勢を示している個体で活性化されたニューロンはFos蛋白質の発現の検出により同定した。 攻撃行動をうけ敗北姿勢を示した個体ではオキシトシン産生ニューロン、視床下部のオキシトシン受容体発現ニューロン、中脳のオキシトシン受容体発現ニューロンのみならず、大脳皮質のオキシトシン受容体発現細胞の一部が活性化されることが明らかとなった。従って、社会的な敗北姿勢を示しているときに、視床下部内オキシトシン神経回路、あるいは視床下部-中脳オキシトシン神経回路の他、視床下部‐大脳皮質のオキシトシン神経回路が活性化される可能性が見出された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
社会的敗北の実験系を用いて、オキシトシン神経回路系の賦活化が脳の広範囲にわたって起きることを見出すことが出来きた。また、社会的敗北を観察させるための実験箱を作製し、観察により誘発される情動行動を記録出来たため。
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今後の研究の推進方策 |
社会的敗北を観察している個体で活性化されるニューロンを同定し、社会的敗北で活性化されるニューロンとの異同を明らかにする。さらに、活性化されたオキシトシン神経系の生理的働きについて検討を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
必要な消耗品を購入後3640円の端数が生じたため。
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次年度使用額の使用計画 |
本研究の遂行に必須の薬品の費用の一部として使用する予定である。
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