研究課題
前年度にleucine-rich alpha 2 glycoprotein 1(以下LRG)の心筋梗塞後リモデリングにおける病態的意義をLRGの遺伝子欠(以下KO)マウスを用いて検討したところ、心拡大と収縮性の低下を認めた。本年度は、その機序を解明すべく研究を施行した。CD11抗体を用いた免疫染色により梗塞巣周囲の境界領域における微小血管数について検討した。その結果、心筋細胞に対する微小血管数の有意な現象を認め、血管新生の抑制が生じている可能性が示唆された。さらに、血管新生についてより詳細に検討すべく血管新生のマーカータンパク質であるApelinの発現をLRGKOマウス及びコントロールである野生型マウスにおいて検討した。その結果、野生型に比してLRGKOマウスにおいて、有意なApelinの遺伝子発現の低下を認めた。さらに免疫染色による検討より、Apelinの発現はマクロファージの周囲に高頻度に認めたため、LRGの分泌による作用である可能性が強く示唆された。最後にLRGの梗塞後リモデリングに対する作用がマクロファージ等の骨髄細胞由来である事を検討する事を目的に、骨髄移植実験を施行した。LRGKOもしくは野生型マウスより骨髄細胞(1x107個)を採取し、7Gyの照射により骨髄細胞を除いたLRGKOマウスに移植した後に、心筋梗塞を作製し梗塞後リモデリングの評価を心エコー及び組織学的解析により施行した。その結果、LRGKOマウスより採取した骨髄細胞を移植したLRGKOマウスと比較して、野生型マウスより採取した骨髄細胞を移植したマウスは梗塞後リモデリングが有意に抑制された。以上の結果より、マクロファージ等の骨髄細胞より産生されるLRGが新生血管の形成を誘導する事により梗塞後リモデリングに対して抑制的に作用している事が示唆された。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 5件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 4件)
Cardiovasc Res
巻: 109 ページ: 272-82
10.1093/cvr/cvv273.
Basic Res Cardiol
巻: 111 ページ: 4
10.1007/s00395-015-0523-4.
Am J Physiol Heart Circ Physiol
巻: 311 ページ: H476-86
10.1152/ajpheart.00180.2016.
J Cardiovasc Pharmacol Ther.
巻: 22 ページ: 273-282
10.1177/1074248416676392.
Circ Res
巻: 118 ページ: 1577-92
10.1161/CIRCRESAHA.115.307495.