研究課題/領域番号 |
15K15062
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
中谷 真子 福井大学, 医学部, 助教 (60538552)
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研究分担者 |
青木 耕史 福井大学, 医学部, 教授 (40402862)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | オートファジー / ATG7 |
研究実績の概要 |
本研究課題では、オートファジーにおけるATG融合反応に必須の酵素であるATG7の活性制御機構の解明を目的に研究を進めている。これまでの研究から、CDX2の結合するATG7複合体に含まれているタンパク質を回収後、網羅的質量分析(ショットガン解析)を行い、約30個の候補因子を同定した。これらの因子をATG7制御候補因子として解析を進めている。H27年度の解析では、これらの30個の候補遺伝子を遺伝子クローニングした。これらの因子には、機能が未知であり未だ抗体が作成されていない分子が多く含まれていたため、いずれの因子にもflag標識配列の導入を行った。さらに、これらのATG7制御候補因子を発現するTet誘導細胞を作成した。作成したTet誘導細胞において、候補遺伝子の発現が誘導できることを抗flag抗体を用いて確認した。次に、これらのTet誘導細胞において、ATG7制御候補因子を発現誘導し、抗flag抗体を用いて免疫沈降実験を行うことによりATG7との結合を解析した。その結果、30個の候補遺伝子の中かから、3個の遺伝子がATG7と結合することが分かった。これらの因子がATG7と結合するという報告は未だなされていない。そこで、これらの因子を「新規ATG7結合因子」として、ATG7の機能に与える影響を現在解析している。特に、LC3BやATG12と結合すると、安定型として存在することが可能であるATG7:C572S変異体は、ATG融合反応量を定量することができる(投稿準備中)。そこで、ATG7:C572S変異体を発現するTet誘導細胞に新規ATG7結合分子も同時に発現するdual-tet誘導細胞を作成している。これらの細胞を作成次第、ATG7への活性に与える影響を中心に解析を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
30個のATG7制御候補因子の遺伝子クローニング、およびそれらの遺伝子を発現するTet誘導細胞の作成を確実に進めることができた。さらに、これらの細胞を用いた免疫沈降による実験から、本研究課題の目的の一つである新規のATG7結合分子を同定することができた。したがって、本研究課題は、概ね順調に進捗していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
H28年度は、H27年度に同定した新規ATG7結合因子のATG7への結合の意義を解析することにより、新たなATG7の制御機構の解明を目指して研究を進める。 H28年度は、① DLD1-Tet細胞でATG7結合因子の発現を誘導して、オートファジー活性の指標の一つとなるLC3の発現をwestern blottingにより解析する。② dual-tet細胞を用いて、ATG7:C572S変異体と候補因子を発現して、ATG融合反応の速度に与える影響を解析する。③ 候補因子の発現をshRNAでノックダウンし、同様の解析を行う。現在、レンチウイルスベクターpLKO.1を用いて新規ATG7結合分子に対するshRNAを発現するベクターおよび細胞の作成を進めている。これらの解析から、ATG7制御因子を同定する。 さらに、ATG7制御因子によるATG7の活性制御機構の解明を進める。まず、ATG7の細胞内局在に与える影響を解析する。さらに、ATG7、ATG12、ATG5、ATG7制御候補因子が形成する複合体をクロマトグラフィーを用いて解析し、得られた結果からATG7の活性制御モデルを考察する。
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次年度使用額が生じた理由 |
試薬、消耗品などの購入費が予定よりも低価格に抑えられたため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の試薬、消耗品の購入に使用する。
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