研究課題/領域番号 |
15K15064
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
岡島 徹也 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (20420383)
|
研究分担者 |
小川 光貴 名古屋大学, 医学系研究科, 研究員 (70727429)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | Notch / EOGT / BBB / BRB |
研究実績の概要 |
血液脳関門(BBB)の機能維持には、異なる細胞間の相互作用が重要な働きをする。EOGT変異マウスにおける脳血管系の異常の原因を特定するため、細胞特異的なEogt欠損マウスを用いたEOGT作用部位の同定を行った。そして、分子機構の解析のために、Notch1変異マウスと交配し、遺伝学的相互作用を観察することを計画した。 本年度は、まずは、前年度の問題点を解決した。昨年度は、Eogt変異マウス、Notch1変異マウス、そして2重変異マウスを作製し、Sulfo-NHS-LC-Biotinをトレーサーとして用いて脳血管外へのトレーサーの漏出によるバリアー機能の異常を解析したが、単独変異マウスに比べて、明らかに重篤な異常が観察されなかった。そこで、より定量的な解析を行うために、生後15日目の網膜を用いて血液網膜関門(BRB)の解析を行った。BBB の異常と同様に、Tie2-Cre; Eogt[flox/flox]マウス、Eogt変異マウス、Notch1変異マウスにおいて、BRBの異常を確認した。さらに、EogtとNotch1の2重変異マウスでは、単独のノックアウトマウスに比較して、より重篤な異常が観察された。従って、Eogt変異マウスのBRBの異常はNotchシグナルの異常によりおきることが示唆された。次に、Eogt変異マウスにおけるNotchシグナルの低下が血管バリアー機能に及ぼす影響を解析するために、タイトジャンクションの構成因子の発現を解析した。その結果、定量的RT-PCRでは、ZO1の発現レベルの低下を認めたが、サンプル間の違いが大きく、免疫組織染色では有意差を検出するには至らなかった。脳組織から単離した血管内皮細胞を用いて、より精密な解析を行う必要があると考えられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、昨年度に生じた計画の遅れを解消できた一方で、単離した脳血管内皮細胞を用いた解析を確立する必要性が新たに生じたため。
|
今後の研究の推進方策 |
単離した脳血管内皮細胞を用いて、タイトジャンクションの構成因子の発現量の定量的解析を進めると並行して、ヘキソサミン経路の活性化に伴うNotchシグナルや血管バリアー機能の変化を明らかにする。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初計画では、Eogt変異マウスを用いて、実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)モデルにおける血液脳関門 の評価を行う予定であったが、コントロールとして用いるEogt変異マウスの血液脳関門の評価 に時間を要したため。
|
次年度使用額の使用計画 |
脳組織より単離培養した血管内皮細胞を用いて、血液脳関門の評価を行うことを目的としたマウス飼育費や細胞培養用経費として、使用計画を立てている。
|