薬剤によりラット肝臓から細胞を除き、肝臓の臓器骨格を得ることが可能である。これにマウス胎仔肝前駆細胞と成体肝細胞を種々の条件下に注入して至適条件を検証した。解剖学的特徴から肝細胞の注入経路としては門脈よりも胆管が有効であった。さらに、ラット肝臓の類洞内皮細胞を門脈から注入し、有効に生着することを確認した。肝細胞と類洞内皮細胞を共に注入した肝臓に血液を流し、従来よりも血栓形成が抑制されることを確認するとともに、肝細胞障害が軽減されることを確認した。この結果は将来、移植可能な人工肝臓の作製につながる可能性がある。一方、肝硬変肝臓の臓器骨格作製にも成功し、肝硬変肝臓が肝癌細胞へ及ぼす影響も検証した。
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