本研究では将来的に3Dプリンターを用いた尿管の作成を目標として、その基礎となる研究を行った。具体的には、用いる細胞種の選定、そして3Dプリンターには直径約0.5mmのスフェロイドと呼ばれる細胞槐を用いるが、その培養方法の確立をまず行った。当初の予定通りヒトiPS細胞から作成した中間中胚葉からFoxD1、HoxB7陽性細胞への分化、培養を行う準備を行いながら、まずは簡便に直接FoxD1、HoxB7陽性細胞のスフェロイド形成が可能かどうか、マウスの胎児よりFoxD1陽性細胞、HoxB7陽性細胞を直接抽出、初代培養することでスフェロイドの形成を試みた。 FoxD1に関して、免疫染色により胎生17.5日のマウスにFoxD1陽性細胞が存在することを確認し、Collagenase処理を行いFoxD1陽性細胞を初代培養することが可能であった。そしてそれをスフェロイド培養用のNanoCulture® Plateへ継代培養したものの、FoxD1の発現が維持されなかった。継代を経ずに直接NanoCulture® Plateへ細胞を撒布するなどの工夫によりFoxD1陽性が維持したうえでスフェロイドの構築が可能か検討中である。更に直接的にFoxD1陽性細胞をCre-LoxPシステムを用いてFACSで集めることも考え、遺伝子改変マウスであるFoxD1-Creマウスを徳島大学より譲り受け、同マウスとレポーターマウスであるR26tdTomatoマウスと交配を開始する予定である。 HoxB7陽性細胞に関して、Cre-LoxPシステムにより直接マウスの胎児内でレポーター遺伝子を発現させた後にFACSにより細胞を集め、その細胞を培養しスフェロイドを作成することとした。遺伝子改変マウスであるHoxB7-Creを徳島大学から譲り受け、レポーターマウスであるR26tdTomatoマウスと交配を開始する予定としている。
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