研究課題
シグレック7/9のV-セットドメインを介する免疫系細胞の機能制御機構の解明の終結ゴールとして、シグレック7/9が認識するリガンド糖鎖構造の発現、非発現細胞における免疫細胞の細胞傷害作用に対する感受性の変化を解析した。また、これらの細胞同士の相互作用時の細胞内シグナルの差異につき検討して、リガンド糖鎖の微細な差異の影響を明らかにした。シグレック7の最適リガンドの一つであるGD3を発現する大腸癌細胞株、DLD-1/GD3合成酵素(DLD-1/GD3S)に対するシグレック7の結合性の解析から、その認識における脂質セラミドの長鎖塩基のC4の水酸化が決定的な影響を示すことが判明したので、その合成に関わるDes2遺伝子を CRISPR/Cas9によるノックアウト法により機能破壊した。これを、親株と比較して、NK様細胞に対する感受性を比較し、ノックアウト株で明らかな(被)細胞傷害性の低下を認めた。即ち、通常型セラミドを有するGD3の発現によりシグレック7の結合が回復して、NK様細胞に抑制シグナルが導入されたことで、その機能低下を招いたことが示唆された。さらに、長鎖塩基に加えて、セラミドのもう一つの構成要素である脂肪酸のC2の水酸化も、シグレック7の結合に影響することが疑われたので、その合成に働くFA2H遺伝子についても同様にCRISPR/Cas9によるノックアウト法を適用して機能破壊した。その結果、シグレック7の結合性のさらなる亢進とNK様細胞に対する(被)細胞傷害性の一層の低下が認められた。免疫不全マウスを用いたin vivo 実験に関しては、準備段階で期間が終了してので、今後のプロジェクトに引き継ぐ予定である。
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Cancer Science
巻: 109 ページ: 141-153
doi: 10.1111/cas.13448
Biochim. Biophys. Acta
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10.1016/j.bbagen.2017.06.007