本研究は、がんの治療戦略として集団的浸潤に注目した研究を進めた。集団的浸潤の制御系としてRab13-JRABに注目し、まずこれまで不明だったJRABのRab13依存的な構造変化モデルを提示した。さらに、JRABの構造変化が時間や場所に応じたアクチン細胞骨格の再編成を制御し、その結果、細胞集団の局所での方向性や速度、集団の先頭で生み出される牽引力を調節することを明らかにした。すなわち、JRABの構造の可塑性が、集団的浸潤における「秩序や法則性」を生み出すことを示すことができ、JRABというたった1分子の構造変化をターゲットにしたがん浸潤・転移の制御に向けた戦略開発に繋がることが期待された。
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