我々は高感度質量分析計による定量的リン酸化プロテオミクス技術を用いて、のべ20000を超えるリン酸化について定量解析を行った結果、mTORC1の下流分子として転写因子FOXK1を含む36分子を同定した。さらにFOXK1によって誘導される遺伝子として、単球の遊走因子である炎症性ケモカインのCCL2を同定した。腫瘍細胞の皮下移植実験の結果、ラパマイシン投与、FOXK1の抑制、CCL2の抑制によって、それぞれTAMの浸潤抑制が認められた。このことより、mTORC1-FOXK1-CCL2経路は栄養シグナルと炎症をつなぎ、がんの発生や進展に重要な役割を持つことが明らかとなった。
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