研究課題
ミスセンス変異による疾患群の病態生理学の解明されるべき課題の一つに試験管内のタンパク質の機能と細胞・生体内機能のギャップがある。すなわち、ミスセンス変異により当該タンパク質の試験管内での機能は正常型に比べ低下するものの部分的に残存しているにもかかわらず細胞内では機能が認められない場合がある。これまでは、当該遺伝子の必要性・閾値、もしくは redundancy によりこの現象は説明されてきたが、近年、細胞内で変異タンパク質が不良タンパク質として認識されユビキチン・プロテアゾーム経路にて分解され、結果として当該タンパク質が存在できなくなるという新しい機序の存在が明らかにされようとしている。例えば、肢帯型筋ジストロフィー (Limb-Girdle Muscular Dystrophy : LGMD) の type2D の場合、ジストロフィンと会合してジストロフィン糖タンパク質複合体を形成する細胞膜糖タンパク質の一群であるα-サルコグリカン (α-sarcoglycan : SGCA) 遺伝子の変異が原因であるが、試験管内では 30 % 程度の複合体形成活性が残存する。一方、患者細胞内では SGCA タンパク質自体が検出できず、最近、イタリアのSandonà 博士らは研究代表者が発見したシノビオリンがその分解の中心的役割を成すことを報告した。本研究により全身性のノックアウトマウスの骨格筋においてもミトコンドリアの集積が認められることから、筋組織においてもシノビオリンによるミトコンドリア制御機構が存在することが示唆されていた。さらに、平成28年度、心筋・骨格筋特異的muscle creatine kinase (MCK) プロモーターによりドライブされるCre 発現マウスを用いた 筋肉特異的シノビオリン KO マウス (MCK-cre Syvnfl/fl) マウスの作製が完了した。
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