研究課題/領域番号 |
15K15092
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
小川 基彦 国立感染症研究所, ウイルス第一部, 主任研究官 (10322710)
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研究分担者 |
佐藤 正明 国立感染症研究所, ウイルス第一部, 主任研究官 (30442966)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | つつが虫病リケッチア / マクロファージ / 増殖促進 / リポポリサッカライド / 一酸化窒素 |
研究実績の概要 |
リポポリサッカライド(LPS)処理したマウスマクロファージ系Raw264.7細胞で、一酸化窒素(NO)の産生が顕著に誘導されているにも関わらず、つつが虫病リケッチア(以下、リケッチア)の増殖が促進された。一方で、NOの産生が誘導されていない未処理のRaw264.7細胞では、増殖は促進されなかった。次に、NO産生剤NOR5をRaw264.7細胞に加えたところ、リケッチアの増殖が促進された。以上から、マクロファージ内で、主に殺菌に働くはずのNOが、逆にリケッチアの増殖に関与しているということが示された。 LPSをマウスの腹腔に接種して24時間後に、リケッチアを感染させたところ、未処理対象と比較して、4匹中1匹が早く死亡した。LPSの投与量やリケッチアの感染量の検討し、効果をさらに検証する必要がある。 Raw264.7細胞のサブクローニングにより得られたLPSによる増殖促進効果が高かったクローン(S3-3)を用いて、NO産生剤NOR5処理をおこなったところ、リケッチアの増殖が顕著に促進された。これらの試薬によって処理した細胞における 4時間および24時間後の遺伝子(mRNA)の挙動を、マイクロアレイにより解析した。2つの異なる試薬による処理にもかかわらず同じ発現パターンをもつ遺伝子の中から、パスウェイ解析や機能解析によりリケッチアの増殖促進に関連する遺伝子候補を絞り込んだ。この中から他の細菌の感染増強との関係が報告されているPPARG遺伝子について、CRISPR/CAS9のシステムにより、マウス繊維芽細胞(L-929)のノックアウト(KO)細胞を作製に成功した。同じ方法を用いて、Raw264.7細胞では、KO細胞を作出できなかったため、条件検討が必要なことが示唆された。KO細胞でのリケッチアの増殖を検討し、PPARG遺伝子を増殖促進因子として検証する予定である。
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