研究課題/領域番号 |
15K15096
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研究機関 | 国立研究開発法人国立成育医療研究センター |
研究代表者 |
鏡 雅代 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, その他部局等, その他 (70399484)
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研究分担者 |
中林 一彦 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, その他部局等, その他 (10415557)
松原 圭子 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, その他部局等, 研究員 (90542952)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | インプリンティング / DNAメチル化 / アレイ / 網羅的メチル化解析 |
研究実績の概要 |
研究初年度である平成27年度は集積済みのインプリンティング異常症エピ変異症例においてビーズアレイによる網羅的メチル化解析を施行した。親由来でメチル化状態が異なるDifferential Methylated Region (DMR)と同定されている約750プローブ、49DMRについてメチル化状態を検討した。疾患責任DMR以外の複数のDMRのメチル化異常を示すMultiple Methylation Defects (MMD)はSilever-Russell症候群や新生児一過性糖尿病などで報告されているが、14番染色体インプリンティング異常症であるTemple症候群 (TS14)やKagami-Ogata症候群 (KOS) では報告がない。我々は4例のTS14および5例のKOSエピ変異症例でアレイを用いた49DMRに対するメチル化解析を行いTS14において2例のMMDを同定した(現在投稿中)。MMDの既知の原因遺伝子には変異を認めず、新規原因遺伝子、もしくは受精後早期のエピジェネティックな事象により生じたと推測している。また、Beckwith-Widemann症候群、偽性副甲状腺機能低下症両疾患の臨床像を示しし、DMRのメチル化異常も示すMMDの症例も同定し報告した (Sano et al, 2016, J Hum Genet)。そして、メチル化異常を示す症例における組織間でのメチル化の違いについてアレイを用いてTS14エピ変異症例の白血球由来DNAと頬粘膜由来DNAで比較したが、両者のメチル化状態に大きな違いはなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究初年度に成果を二編の論文に発表することができた。そのほか数十例のアレイを用いたアレイを用いたメチル化解析データを得た。
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今後の研究の推進方策 |
さまざまなインプリンティング異常症におけるDMRのメチル化状態の検討に加え、今後はDMR以外のメチル化状態を検討する。インプリンティング異常症表現型がどのように生じるかを明らかにするうえで、異常発現を示すインプリンティング遺伝子の下流に存在する遺伝子のプロモーター領域などもメチル化の異常が生じている可能性を考え、約45万か所のプローブについてメチル化解析を進め、インプリンティング異常症症例でメチル化比率が大きく変動している遺伝子を明らかし、インプリンティング異常症の表現型発症機序を明らかとしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究初年度のため網羅的メチル化解析のためのアレイ購入のための費用を多く算定していたが、別の研究費で購入してたアレイが残っていたことから購入する必要がなくなったため。
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次年度使用額の使用計画 |
アレイ解析で同定された結果の確認のための実験に使う試薬の購入などを予定している。
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