研究課題/領域番号 |
15K15096
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研究機関 | 国立研究開発法人国立成育医療研究センター |
研究代表者 |
鏡 雅代 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 分子内分泌研究部, 室長 (70399484)
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研究分担者 |
中林 一彦 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 周産期病態研究部, 室長 (10415557)
松原 圭子 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 分子内分泌研究部, 研究員 (90542952)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | インプリンティング / DNAメチル化 / アレイ / 網羅的 |
研究実績の概要 |
研究2年目の本年度は、これまでのInfinium HumanMethylation450 BeadChip (Illumina)でのデータ解析に加え、新製品であるEPICを用いての網羅的メチル化解析も開始した。EPICは85万プローブが掲載されており、これまでの45万に比べより多くの領域の解析が可能となった。本年度は研究初年度から継続してInfinium HumanMethylation450 BeadChip によるデータ取得および、得られたデータの解析、論文化を進めた。先行研究と合わせて150名以上のインプリンティング異常症検体のデータが得られた。そのうち我々がこれまで研究を進めてきた14番染色体インプリンティング異常症であるTemple症候群およびKagami-Ogata症候群のエピ変異症例において網羅的メチル化解析結果について論文化した。これらの解析では、血液に加え頬粘膜からのDNAを用いて、750のDifferentially methylated region (DMR: 親由来にCpG配列のメチル化修飾状態が異なる領域)のメチル化状態を検討し、Temple症候群症例で責任DMR以外のメチル化異常を示すMutilocus imprinting disturbance: MLID)を世界で初めて同定し、報告した (Kagami et al. Genetics in Medicine, 2017)。これはインプリンティング異常症の頬粘膜と血液由来のメチル化状態を比較するビーズアレイを用いた初めての検討である。さらに、分担研究者の松原が、ビーズアレイを用いた効果的ね解析プログラムを開発した。加えて、解析用のコントロールのEPICでのデータ取得も進め、来年度はこれを用いて、取得済みのアレイデータ(Infinium HumanMethylation450 BeadChip およびEPIC) について全ゲノム領域を対象とした解析を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで当研究室で集積したさまざまなインプリンティング異常症症例の検体を用いたメチル化アレイデータの取得を多いに行った。さらに、これらの効率的な解析用のプログラムも開発できた。希少疾患である14番染色体インプリンティング異常症(Temple症候群、Kagami-Ogata症候群)のエピ変異症例の初めてのメチル化解析結果を論文化することもでき、成果も十分にでていると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は我々が開発した解析プログラムを用いて、インプリンティング領域以外のメチル化状態を明らかとしていく。特に構造異常を伴ったインプリンティング異常症症例で、インプリンティング領域以外のメチル化が異常を示している症例を同定しおり、インプリンティング領域と相互作用する遺伝子群の同定を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会が東京であったことから旅費が不要であった。beadchip methylation arrayが異なった研究費で以前に購入していたものでまかなうことができた。
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次年度使用額の使用計画 |
余剰分は、次年度は論文化予定であることから、投稿料にあてたい。
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備考 |
遺伝子解析を依頼され、解析結果について論文にまとめた Luk HM et al. Silver-Russell syndrome in a patient with somatic mosaicism for upd(11)mat identified by buccal cell analysis. Am J Med Genet A. 2016. 170(7):1938–1941.
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