研究課題
認知症患者は現在国内で462万人と推計され、深刻な社会問題となっている。認知症はその原因から(1)血管性、(2)アルツハイマー型:AD、(3)レビー小体型:DLB、(4)前頭側頭型:FTLDに分類されているが個々に神経に沈着する物質も違い治療戦略も異なることから、正確な分類が必須である。また60%を占めるADには、早期であれば分子標的薬も有効と考えられているが、有効な早期診断法は存在しない。このような背景の中、応募者は血清中に存在する数種のmiRNAによって、ADの血清診断の可能性を見出した。具体的には、これまでの応募者の結果から、アミロイドが沈着するAD患者の血清中のmiRNAプロファイルと、α-シヌクレインが沈着するDLBはmiRNAのプロファイルが異なる可能性が示された。この事実はエクソソームのプロファイルにも差がある可能性も示唆する。従って、本研究から、神経細胞における分泌小胞、miRNAを介した変性機構が明らかになる可能性がある。また、神経変性の初期変化を捉えることは、認知症以外の神経変性疾患の診断応用につながる可能性を持っている。平成27年度は、miRNAの発現変動を大規模な範囲で健常者と比較し、AD特異的エクソソームのマーカー単離を目指した。また、今後の臨床応用を考慮し、検体の採取の標準化や(年齢によって異なるmiRNA内部標準マーカーを同定する検討も行った。
2: おおむね順調に進展している
研究計画に沿って順調に推移している。
平成28年度は、(1)年齢によって異なるmiRNA内部標準マーカーを同定する、(2)AD特異的な、血清及び唾液中の分泌型miRNAを同定する、(3)AD特異的なエクソソームのマーカーを同定する、(4)上記マーカー分子を微量検体から検出可能なシステムの開発を行うまた、最近、オランダのWurdingerのグループから、血小板中に存在するがん由来のRNA(Tumor-educated blood platelets,TEPs)が報告された。彼らは、がん患者の血小板中にRNAが存在することを見いだし、そのRNAが、がん由来の配列をもっている事を発見した。今年度は、さらに、認知症において、血小板中のRNAの解析を加えていく。
実験の条件検討に時間を要したため。
条件検討後、実験を進める。
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すべて 雑誌論文 (13件) (うち国際共著 13件、 査読あり 13件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
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